【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.444~ミスターBN】
ジャズ全盛期(1960~70年代)を代表するジャズ専門レーベルと言えば、「BN」「プレスティッジ」「リバーサイド」の3大レーベルとなっており、今でもこの3大レーベルの名盤特集などの記事も音楽誌などで時々目にするが、この中で実際に今も存続しているのはBN(=ブルーノート)だけ。ただしこのBNも一時は活動停止していたが、大所のレコード会社がそのジャズ部門の強化の為にこのレーベルの再興を図り、それが現在まで続いている次第で、今ではこの「新生BN」からはロバート・グラスパーなど時代をリードするジャズプレーヤーや新しいジャズアルバムも数多く誕生、ジャズシーンの新潮流にもなっている。
このジャズ全盛時から現在までの数多くの秀盤~「BNジャズ」を日本で不朽のものにした立役者、それが「ミスター"BN」とも呼ばれる行方均氏である。彼は元々東芝EMIの洋楽部門のトップを務め、同社がユニバーサルレコードとの合併以降も、洋楽部門の代表と言う立場で頑張っていたのだが、種々の事情などもあり退職、自身でBN関連のジャズ本を出したりジャズアルバムのプロデしたュースなどを精力的に手掛けたりしていた。
しかし数年程前に白血病が見つかり入院生活を余儀なくされ、ミスターBNもこれまでか...と多くの関係者から心配されたが、闘病の甲斐あってどうにか退院、外出も出来るようにまで回復したと言う。ちょうど彼のジャズ本「ジャズは本棚にあり」も昨年秋に出されていたので、良い機会なので久しぶりに番組に登場してもらえないかとオファーを出すと...喜んでという返事。そこで久しぶりにスタジオでのご対面となった。彼とはおよそ2年振り以上の顔合わせである。
奥さんに伴われてスタジオに現れたナメちゃん(行方均氏)は、長い闘病生活だけにいささかやつれ気味、傲岸不遜と言った趣きも強かったかつての威勢の良さこそ失われていたが、思いのほかに元気で自身の病気の話なども気さくに話してくれたが、なんと自身血液を入れ替えO型に変わってしまったと言う。山本嬢も血液型が変わって性格は...などと聞くと些かも変化なし...ということだが、奥方はいささか怒りっぽくなったと語っていた。
入院生活が明けると早速ジャズ活動も開始し、ヤマハホールで入場料ありのBN関連の講演会を3か月連続で実施するのだと言い、その宣伝も番組の中でちゃっかりしていた。このBN講演会は彼が見出したピアニスト、高校生でセンセイショナルなデビューを果たし、今や30才代を迎えた松永貴志のソロピアノライブの演奏付きと言うもの。有料のジャズ講演会自体は珍しくはないがそれをヤマハホールでやる...。ここら辺も強気なナメちゃんならではと言った感も強く「大病を経験しても人間は変わらないなー」と変な感慨を抱いてしまった程。
番組では松永君ともう一人彼が手掛けた大物ピアニスト、大西順子の新作からも数曲取り上げ、闘病生活とジャズなどを語ってもらったがナメちゃん健在と言う思いも強かった。 何時までも元気で...、「ミスターBN」。
【今週の番組ゲスト:ジャズ レコード プロデューサーの行方 均さん】
最近プロデュースされたアルバム「THE WORLD OF PIANO」(松永貴志)、「Ⅻ」(大西順子)の2枚を中心にお話を伺いました。
M1「Ode To Joy(歓喜の歌)/ 松永貴志」
M2「For You All / 松永貴志」
M3「Apple of My Eye / 大西順子」
M4「Teenager / 大西順子」