5月12日（日）に東京競馬場で行われる第19回ヴィクトリアマイルに出走を予定しているマスクトディーヴァ（牝4、栗東・辻野泰之厩舎）について、追い切り後に行われた辻野泰之調教師の共同記者会見でのコメントは以下の通り。

「去年の秋華賞が終わったあと、年内は休養して次の年に備えようということになったのですが、春に牝馬限定のGIがあるので、そこを獲りにいくのを目標に、年明けのローテーションを組みました。春はここを獲りたいというオーナーサイドと、厩舎としても何とかこの馬にGIを獲らせたいという気持ちを強く持っていますので、何とかここでタイトルを獲ってほしいという思いは強いです。

前走の阪神牝馬ステークスは、その前の東京新聞杯ではアクシデントで上手くレースが運べませんでしたので、そういうところを払拭してほしいという思いもありましたし、内容的にもいい内容でレースを終えられたと思っています。うまくジョッキーもなだめてくれて、いいスタートを切ってくれたのですが、その前にソワソワするところは見受けられましたので、今回も、ゲートの中でいかに落ち着いて五分のスタートを切れるかというところがポイントになってくるのではないかと思います。

前走は余裕を持ってレースを終えられました。レース後は10日間ほど山元トレセンに放牧に出したのですが、全く疲れが無いという報告も受けていましたし、これならいい形でGIに向かえるとは感じていました。

二週前の坂路の追い切りから一気に動きの質が上がってきましたので、一週前は、馬体にもしっかり負荷をかけようという意図で追い切りました。こちらがイメージしている以上に動きも良かったですし、息の入りもすごく早く、ひとつまたステップアップしていると感じていました。負荷がかかったのか心配になるくらい息の戻りも良かったので、この馬の負荷というのがどのあたりにあるのか、迷うところではあったのですが、去年であればこの内容だと多少疲れが残ったり息の乱れがあったりしたのではないかと思います。そういったところが無くなってきて、去年よりも大人になってきていると感じます。

今週の最終追い切りは、坂路で、いつも通りバランスを整えてという内容でした。予定より少し速くなったかなとは思いますが、その中でもフォームも息の乱れも無く、軽々と坂路を上ってきたという印象でしたし、ちょうどいい調教になったのではと感じています。軽く仕掛けてバランスが崩れないかどうかの確認も行ったのですが、乱れとかは一切無かったですし、いい状態に持ってくることができたと実感しています。前回はあまり作り込んでレースに臨んだわけではありませんでしたが、今回はGIレースということで、春の目標でもありますし、しっかり馬を作ってレースに臨みたいという意図もありました。そういう意味ではしっかり作ることができたのではないかと感じています。

正直に言って、この馬の適性がマイルかと言うと、本来はもう少し長い方がいいのではないかとは感じているのですが、レースセンスの良さと能力の高さでそこはカバーしてくれるのではないかと思っています。

ゲート練習は毎週確認しているのですが、すごく頭のいい馬で、ゲート練習は本当に穏やかにこなしてくれます。競馬場に行ってのテンションは、行ってみないと、というところはあるのですが、ジョッキーも前回乗って理解してくれていると思います。とにかくスタートだけだと思いますし、スタートさえ五分に切ってくれれば、あとはジョッキーにお任せしてもいいのではないかと思っています。

いろいろな面でお父さん（ルーラーシップ）に似ていると感じるところもありますし、この馬の活躍で、またルーラーシップの価値や名声が高まってくれればうれしい限りだと思います。頭のいいところは似ていると思いますし、フットワークの軽さや、加速のすばらしさというのはお父さん譲りだと思います。

去年の秋華賞で、いい競馬ではあったのですが、1着を取れなかったというところで、何とかことしはGIで1着というのを目標にやってきたつもりですし、何とかここでGIのタイトルを獲らせてあげたいという思いは強いです。皆さんの声援のおかげで、ようやくここまで成長して、GIを狙えるようになってきました。あとは皆さんの応援があれば頑張ってくれると思いますので、応援よろしくお願いします」

（取材：三浦拓実）