今日10/24、米石油メジャーシェブロンが原油や天然ガスの開発を手がける米ヘスを530億ドル(約8兆円)で買収すると発表。今月はエクソンモービルがパーミアン盆地のシェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズを8.9兆円で買収すると発表したばかり。
世界でネット・ゼロ・エミッション(廃棄物の排出をゼロにする)が進められる中、化石燃料企業による再編、この裏にはどんなストーリーがあるのでしょうか。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト/ポスト石油戦略研究所代表
大場紀章氏にお話を伺いました。
大場さんは、これらの大型買収が進められる背景を
3つのポイントに分けてお話くださいました。
1・シェール企業の財務健全化
開発、増産で成長してきたシェール企業が債務を削減。
開発投資はキャシュフローの範囲内にとどめ
投資家に資金を還元する資本規律に焦点を当てた
経営で成熟した企業となった。
2・株価が落ち着いてきた
シェール革命ブーム時は石油メジャーより
割高だったシェール企業だが
現在は石油メジャーの株価のほうが高い。
エクソン、シェブロンの大型M&Aは株式交換。
買収しやすい条件が整ったことも背景。
3・資源確保と生産の効率化+
ゼロエミッション達成へ近づく
すでにエクソンの石油資源の40%がシェール。
米国の70%の原油ガス生産はシェール生産。
今回のエクソンが買収したパイオニアのシェールは
軽質油(ライトスイート)。
軽質油のCO2排出量は重質油のおよそ半分。
ゼロエミッションに近づけるには
重質油生産から軽質油生産へのシフトが効率的。
エクソンは2050年のネットゼロ目標を
2035年に前倒ししており気候変動問題への
取り組み強化を求める株主に対しても説明ができる。
全ては米国内の買収案件で、
原油市場に及ぼす影響は短期的には大きくないですが
これによりエクソンモービル1社の生産量は
UAEやクエートといった国家の生産量に匹敵する規模に。
巨大資本が中東生産国の生産量に匹敵する
生産規模に達するというのは
中東にとっては脅威ではないかと大場さん。
OPECプラスは原油価格が下落すると
価格を釣り上げるために減産し、
生産量を調節してきましたが
米企業は利益になるなら生産活動を継続し続けます。
資本の効率化でさらなる生産量の拡大が見込める米国。
原油価格は戦争などの不確実性の高まりがなければ
急騰するというシナリオは
少なくなってきているのかもしれません。
くわしくはPodcast配信で大場さんの解説をぜひ。
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