5月12日（日）に東京競馬場で行われる第19回ヴィクトリアマイルに出走を予定しているナミュール（牝5、栗東・高野友和厩舎）について、追い切り後に行われた高野友和調教師の共同記者会見でのコメントは以下の通り。

「もともと素質は感じていましたが、海外の、大きく環境を変えた中で、メンバーも強い中でしっかり走れていますので、この馬のメンタル、またフィジカル、すべてのレベルが上がってきたと感じました。前走のドバイターフは、状態も良かったですが、競馬っぷりも良かったですし、目一杯走れている感じがありました。結果はもちろん悔しかったですが、パフォーマンス自体に関してはすごく満足のいく走りができたと思っています。

前走の前から、オーナーサイドとの話では、計画のひとつとしてヴィクトリアマイル出走というのはありました。あとは状態を見ながらというところで、レース直後から馬の感じが良いというところでドバイを出国して、三木では確認できなかったものの、ノーザンファームしがらきに到着した直後の姿や形が、香港からしがらきに到着した時よりいい形でした。まだそこでは決断しませんでしたが、その後の経過を見て、行けるなという判断をノーザンファームしがらきとしたというところです。去年の富士ステークスからマイルチャンピオンシップ、そこから中2週の香港を無事に過ごせたというのが、よりこの馬の成長を促したのではないかと思いますし、今回、タイトと言われていますが、馬の感触を見ていると、大丈夫かなとは思っています。

検疫日程の関係で、先週の木曜日（2日）でないと移動ができませんでしたから、直前の栗東移動だったのですが、姿や形は問題ありませんでした。あとは乗っての感触というところで、金曜日から乗り手が繊細に感じ取っていったのですが、その感じだと状態は大丈夫だということでした。日曜日（5日）の追い切りは、それほど動かすつもりは無かったのですが、軽く動かしてみた感じが素晴らしく、弾んでいましたので、状態としてはかなり高いレベルにあるのかなというのは感じました。

厩舎の、ナチュラルな、レギュラーな追い切りに組み込める、いい状態でしたから、きょうの最終追い切りも、時計は求めず、最初はバランス良くリズム良く行かせて、少しためる時間も作って、最後少し短い時間だけ少し加速させるというというイメージでやりました。提示した時計よりは気持ち速くなりましたが、全然問題無いというか、リズム良く動けていましたし、上がりの馬の表情とか歩様が非常に良かったので、ここまでは無事というか、万全で来ることができていると思います。力は間違いなく出せます。

去年も状態としては悪くないと判断して出走させていますが、結果が物語るように、今よりもまだ肉体的にも精神的にも完成の一歩手前だったかなと思いました。今は心身ともに充実していますから、去年とは違うナミュールをお見せできると思います。

去年のマイルチャンピオンシップの勝利はもちろん大きかったです。GI勝利というのはやろうと思ってできるものではないですし、とにかく勝てないのがGIですから、それを成し遂げてくれました。しかも代打騎乗でしたので、藤岡康太騎手がすごい仕事をしてくれたと今でももちろん思います。彼がここまでこの馬を押し上げてくれたというこの事実は変わりないですし、彼が押し上げてくれたナミュールを、さらに高みに持っていきたいという思いはあります。

実力的にも、これまで残してきた成績としても、ここは勝ち負けに持ち込まなければいけない立場というのは自覚していますし、馬も、今の状況なら、しっかり走っていい結果が出るとは思います。競馬に絶対は無いというのは私も知っていますが、今ここでお伝えできる馬の状態はナミュールの完調そのものですので、しっかり走ってくれるのではないかと期待しています」

（取材：三浦拓実）