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 5日(土)は1日が長いので、2つに分けて話をする。ここで記者さんから、ノヴェリスト回避との情報を得る。パリチュルフのサイトで確認すると、確かに取消となっている。陣営も無念だろうし、ドイツ最強馬がどれくらい強いのか?純粋に楽しみにしていた自分としては、非常に残念。枠順抽選の時点でザフューグがいなくなり、そしてノヴェリストも離脱。状況は、一段と日本馬有利となってきたか??
 
まず10時に佐々木調教師、調整は無事終了と安堵の表情。つづいて11時過ぎに池江調教師。インタビューさせていただいたが、こちらも順調さをアピール、そして今年こそ、歴史の扉を開くのだという、確かな自信に満ち溢れている。ただ池江さん、「ノヴェリストがいてくれた方が、競馬はしやすかったですね」と一言。だがいずれにしても、オルフェとキズナ、どちらも順調、そして関係者の誰もが明るい表情でいることに、こちらも嬉しくなってしまう。

 池江師のインタビューを終え、急いでシャンティイ駅へ。12時02分の電車に乗り、パリへ戻らなくてはならない。これを逃すと、次は12時47分、競馬場に着く時間が大幅に遅れ、余裕が無くなる。またまた15分歩いてシャンティイ駅へ戻るとまだ列車まで時間もあり、駅でエスプレッソ(確か1.3ユーロ)を飲む。RERの駅もそうだが、フランスは、駅の中の売店で、エスプレッソを淹れてくれるコーナーがやたらある。日本に比べ、全体的に物価が高いと感じるパリにあり、高くないし、美味しいし、ちょっと一息つきたい時には、非常に嬉しいサービスだ。

 乗った電車は順調にパリ北駅へ向けて進む。ところが、20分ほど経ったところで急停車。全く動かなくなってしまった。車内では、フランス語のアナウンスが何度かあるが、まったく理解できない。そのまま40分以上が経過、すると隣に特急がきて、これも停車。さすがにおかしい......不安になった僕。隣にいる女性に、「英語できますか?」と聞くと、「はい」とのことなので、紙に「Why this train is stopping?」と書き、「Please write」と伝える。すると女性、「電気系のトラブルで止まっている」と書いてくれる。なるほど、仕方ない、いずれ動くでしょと思っていたら、次のアナウンスが。すると女性は僕の顔を見てくれて、またメモを書いてくれたのだが、これは厄介。「この電車は他の市に行くから、そこで別の電車に乗って、パリに行ってください」と、衝撃的な話。他の市って、一体どこ?どうやって帰ればいいの?と不安になると、電車はいきなり、逆方向、シャンティイ方向へと走り出していく。さすがにやばい、これは完全に想定外、どうしようか?色々考えるも、わからないものはわからない。と、思っていたら再び停車、そしてアナウンス、最後に車内から笑いと拍手。女性はもう一度僕を見て、そしてメモを。「やっぱりこの電車は、パリ北駅に行きます!」とりあえず良かった......ホッとしたけど、なんだかドッと疲れが出てしまった。
 
結局1時間10分遅れでパリ北駅に到着、慌ててRER(B線)に乗換え、さらにRER(A線)、そしてメトロ1号線でポルトマイヨーへ(ここまで切符は1枚)。そこからバスに乗って競馬場へ。今日は競馬開催日、11時からはバス244番だけでなく、同じ乗り場(すぐ隣)から、競馬場までの無料シャトルバスが出ている。日本語で書かれた案内が出ていて、ちょっと驚いたが、それだけ多くの日本人が訪れる事を想定しているのだろう。

 競馬場に着いたのが、14時45分くらいだったか。ドラール賞の発走は16時15分ゆえ、時間的にはまだ十分余裕もあったのだが、電車トラブルがあったせいか、気持ちの余裕は減っている。そこへもう一つ、トラブル発生。ブースを他の海外メディアに占拠され、勝手に使われているというのだ。彼らに話を聞いてみると、回線設置がうまくいかず、回線のある、空いているところを使ってもいいと、フランスギャロに許可をとったというのだ(本当か?)。イギリスの放送局らしいが、使うのは今日だけ、明日は使わないからお願いだと言っている。とにかく、イギリスから回線をつないでもらい、我々に費用負担の無いよう、そこだけは徹底してもらうよう話したが(もしあったら払うと言うが、後の交渉、どうすればいいの?)、こんなことまであるなんて......さらに疲れてしまった。
 
そして迎えたドラール賞、抜群のスタートを切ったステラウインドは控えて5番手、その外に断然人気のシリュスデゼーグル。馬なりで先頭にたって余裕の勝利は、そのシリュスデゼーグル。これでドラール賞連覇で3度目の制覇(2着1回)、さすがにGI3勝、重賞12勝(これで13勝)の実績馬、ここでは役者が違う感じだった。ステラウインドは7着、レース後、尾関調教師にインタビューすると、「やはり相手が強かったですね」とコメント。そして「競馬場の雰囲気にビックリしましたが、この雰囲気に動じない、人と馬にならなくてはなりません。今回はキズナの帯同馬としての遠征でしたが、今回の経験を今後に生かし、また管理馬を連れてきたいです」と語ってくれた。また馬場に関して、騎乗した武騎手は「思っていたよりも重い」と、そしてレースを見に来ていた池江師も「見た目より重いね」と語っていた。

 色々あった前日の土曜日、いつものルートでホテルへ戻り、そして一人、部屋でレースの勉強。凱旋門賞に関しての準備はとっくに終わっているが、ブラーニーストーンが出走するフォレ賞はじめ、他にも素晴らしいGI目白押しの凱旋門賞当日。勉強してから見るのと、ただ漠然と見るのでは、得られる物もまるで違う。実況練習もあるので、塗り絵を作ったり、凱旋門賞について色々なことを考えながら前夜を過ごす。そして最後は、ホテルのバーでビールを1杯。最後の夜まで、毎晩お世話になったこのバー。このくつろぎの時が、海外中継時の僕にとっては、唯一の休息である。

 それにしても、今年の凱旋門賞。出走メンバーがどうなるか、非常に微妙であった。結果、火曜日に1次取消(大量の登録馬のうち、出走しない馬が取り消していくシステム)があってメンバーがある程度絞られ、木曜日に追加登録の締切があり、メンバーが確定(トレヴも追加登録の1頭)、そして金曜の枠順抽選という運びだったが、どうなるかが読みづらかったため、日本にいる間に、30頭以上の外国馬を調べ上げ、資料を作った。大変ではあるが、これも楽しい作業の一つ。そしてyou tubeなどのある今、レース名を入れれば(もちろん現地語)、簡単に外国馬のレースが見られてしまうことにも、時代の進化を感じる。これを見れば、レース振りだけでなく、同時に、勝負服までわかってしまい、本当に便利になった。レーシングポストのサイトで馬を検索し、成績だけを見て、どんな馬かと想像していた数年前までのことを思うと、本当にありがたい時代になったものだと、つくづく感じる。

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