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 6月15日、16日の中央競馬に出走予定だった馬のうち、禁止薬物のテオブロミンを含んだ飼料添加物「グリーンカル」を摂取した可能性のある156頭が競走除外となった件について、JRAは販売元の日本農産工業、小売店のひとつであるJRAファシリティーズ、検査機関の競走馬理化学研究所から事情の聞き取りを行い、その調査結果と改善策を発表した。

・日本農産工業に対する聞き取り内容
「グリーンカル」の原材料であるアルファルファミール(牧草粉砕品)の製造ラインと同じ建屋内にある別の製造ラインで、カカオ豆副産物が粉砕されており、この粉塵がアルファルファミールに混入した結果、「グリーンカル」からテオブロミンが検出された。
「グリーンカル」については、日本農産工業が独自に「モニタリング」と称する、年に1回の薬物検査を行っていたが、これはJRAの「検査は同一の原材料を用い、一定の期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品(ロット)毎に実施」という検査の考え方とは異なるものだった。
日本農産工業では、「産地や入手時期が異なっても原材料名が同じであれば同一のもの」とみなす考え方をしており、このため、同一配合率、同一製造工程により製造された製品であれば、非連続製造であっても全て同一のロット(「グリーンカル」は常にロット番号「F」を使用)とみなしていた。

・競走馬理化学研究所に対する聞き取り内容
競走馬理化学研究所は過去に、検査申請書に記載されたロット番号(「F」)と実際の製品に記載されたロット番号(「F+4桁の英数字」)との違いに気付き、日本農産工業に確認したこともあったが、日本農産工業の「4桁の英数字は管理番号であり、両者は同一のものを指す」との説明を受け、以降、その認識で検査を行っていた。

・JRAファシリティーズに対する聞き取り内容
JRAファシリティーズは、競走馬理化学研究所から発行された検査成績書(写)に記載されたロット番号(「F」)と実際の製品に記載されたロット番号(「F+4桁の英数字」)との違いに気付き、日本農産工業に確認したが、競走馬理化学研究所になされたものと同様の説明を受け、「F+4桁の英数字」が記載された製品を検査済みの認識で販売してしまった。

・発生要因
日本農産工業は、自身が販売する「グリーンカル」の原材料の製造ラインにおいてテオブロミンを含むカカオ豆副産物の粉塵が混入したと特定した。
日本農産工業がロット毎の薬物検査について、JRAが定める「飼料添加物等の薬物検査実施要領」に、結果として従っていなかった。
JRAファシリティーズと競走馬理化学研究所は、「飼料添加物等の薬物検査実施要領」に適合しない製品の流通を未然に防ぐ体制を十分に整えていなかった。
JRAが「日本農産工業の薬物検査受検の状況」「競走馬理化学研究所への薬物検査申請状況」「JRAファシリティーズなど小売店におけるロット番号の確認状況」について、正確な情報を有する体制が十分にとれていなかった。

 JRAはこのことを踏まえ、競走馬理化学研究所との情報共有、小売店には最新の検査結果を反映した全製品のリストの提出を求めるほか、「飼料添加物等の薬物検査実施要領」の文言を明確かつ理解しやすい文言に変更することなどを決めた。また、JRAファシリティーズ、競走馬理化学研究所、日本農産工業に対しても対応を要請した。

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