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さて、装いも新たに3月グランドオープンの中京競馬場。施設の見学が終わり、ジョッキーの皆さんが実際に馬に騎乗して、コースを試走します。我々も放送席に移動し、コースや馬の見え方などをチェックしました。



実況席から見えるゴール地点

新コースの変更点をざっとおさらいしますと、

●旧コースから3~4コーナー部分が外に張り出し、1周の距離が芝1705.9m(105.9m延長)、ダート1530.0m(112.2m延長)に

●最後の直線は芝412.5m、ダート410.7mに。いずれも98.7m延長。芝は京都の外回りよりも長く、ダートは東京に次いで西日本最長

●直線は残り340mから240mまで、100mで2m登る坂が設けられた。勾配2.00%は中山の2.24%に次ぐ傾斜。ダートも勾配1.40%の坂ができた。これも中山に次ぐもの。


芝1600mのスタート地点。1コーナーの向こうにある

距離のバリエーションは芝が1200mから3000mまで7種類、ダートは1200mから2500mまで5種類に。障害コースは襷コースを廃止して、全て芝の置き障害のみで3000mから3900mまで4種類となりました。
ここでの注目は、新たに設けられた芝1600mでしょう。1コーナーの奥に引き込み線ができ、ここから199m走って2コーナー→向正面へと入るコースです。

試走会第1レースはこの芝1600m。引き込み線から2コーナーに出るマイル戦といえば、旧阪神コースを思い浮かべる方も多いかと思いますが…。


直線の坂、お分かり頂けるだろうか

折角なので、持参した双眼鏡で急遽実況することに。出走馬は競馬学校所属の馬で、ゲートからの発走ではなく、ジワッとしたスタート。旧阪神のマイル戦を実況したことがないので何とも言えませんが、何となくイメージは東京1800mのコースのよう。

3コーナーはこれまでよりも(当然ですが)遠く感じます。3~4コーナーのカーブの半径も大きく、これまでよりゆったり回る感じ。そして直線は長く、勝負どころに坂が待ち受けます。このあたりも、同じ左回りということもありますが東京競馬場に近い印象を受けました。


試走会第2レースは檜川アナが実況

ゴール前は、以前のスタンドよりも高さがあるので見やすく感じます。あくまで試走会なので追い比べになることもなく、実際のレースはもっと攻防が激しくなるので、そのあたりは実際のレースを実況しながらアジャストすることになるとは思いますが。

試走会第2レースはダートの1400m戦。これも新コースで新たに設定された距離です。2コーナーの芝部分からのスタートで、芝を127.9m走ってからダートに入ります。実況は檜川彰人アナウンサー。「スタートの感じは、左右逆になった京都のダート1400mかな?」と印象を話していました。


ダート1400mのスタート地点はこんな感じです

ダートもまた直線が長い。これまでの小回りのイメージで実況すると息切れしそうです。また、これまでの中京競馬場は「逃げ馬が粘り、追い込み馬が届く」というコースでした。残り50mで何頭も横に並び、実況するのが大変難しい印象を持っていました。そのあたりがどうなるのか? レース本番を楽しみに待ちたいと思います。

ちなみに、試走会の実況を終えての感想は檜川アナも私も「変に緊張した」でした(笑)。頭数は少なくても、帽子も服も各ジョッキーのもので判別をつけるのが難しい! でも場内に音を出していたので(実況音声設備のテストも兼ねました)間違ったら恥ずかしいし。普段と違った緊張感があったんですわ。


試走会を終え記者会見。左から浅野場長、武豊騎手、ペガスター、福永騎手

試走会後の共同記者会見には武豊騎手、福永祐一騎手が登場しました。

武豊騎手は新コースについて「コースが大きくなり、乗りやすくなった印象があります。乗ってみて気持ちよかったですね。コーナーの入りやラチなどを確認しながら乗りましたが問題はないです。(直線の坂に関して)中山や阪神ほどの体感ではありませんでしたが、レースにどれぐらい影響してくるのかは今後の実戦で掴みたいです」と話していました。

またスタンドに関しても「大きくて綺麗。ファンの皆さんも、馬との距離が近くなりそうですね。このスタンドが一杯になるくらいお客さんに来てもらいたいです」とのこと。「いい舞台を作ってもらったので、我々ジョッキーとしてはこの舞台に相応しいいいレースをしなければという気持ちになりました」と、気を引き締めていました。

福永祐一騎手は「芝の1600mのコーナーまでの入りを注意していましたが、乗った印象としては問題ないコース設定だと思います。直線の坂も威圧感ありましたし、今までの中京競馬場とは違うレースが展開されるのではないでしょうか」とコメント。直線の坂の印象が、武豊騎手とは若干違うのが興味深いところです。

スタンドについては「綺麗になったなーって思いながら見ていました。(かちうまビューについて)レース後の上気した馬体と騎手の高揚した表情、騎手と関係者との喜びの瞬間を間近で見られると思います。たくさんの方に来て頂きたいです」。またパドックについては「動線も短くなりましたし、毎レース騎手がパドックに行ける距離ですから、毎レースパドックで騎乗出るように皆に声を掛けていきたいです」とのこと。

そして、実際のレースに向けてのイメージは出来たか?との質問に「高松宮記念が行われる1200mは、スタートからコーナーまでの距離が短いので外枠不利ではないかと言われますが、このコースはコーナーにバンク(傾斜)があるので、外枠でも馬にとっては回りやすいコースだと思います。直線の坂もありますしね。GIは楽しみですね」。有力馬に騎乗予定の福永騎手。もう既に、ヴィクトリーロードを思い描いているかのようでした。

インタビューの最後は、中京競馬場の浅野政幸場長でした。「今日の試走で、ジョッキーの皆さんにもいろんな感触を掴んでもらえたのでは」。

「昭和45年以来、馬場とスタンド同時の改修・竣工でした。馬場については、距離のバリエーションがテーマ。スタンドはエコ、大迫力、安全の3つがテーマですね。

馬場は、直線の距離が延びたことと2%勾配の坂ができたこと、さらに3~4コーナーは3.5%のバンクで『入りやすく抜けやすい』コーナーです。今までの平坦小回りとは違い、騎手のポジションや駆け引きがより発揮できるコースになったと思います。

スタンドでは、2階ウイナーズサークル前あたりのかぶりつき席もおススメです。直線の叩き合いがよく見えるはずです。また4階の指定席は向正面が一望でき、レースの全貌がご覧になれます。同じ4階のスカイテラスは、天気が良いと名古屋駅のツインタワーや新幹線も見えます。景色を眺めながら馬券検討というのもいいのではないでしょうか。

ヘビーな競馬ファンも初心者の方も、競馬から少し離れていた方にも是非いらして頂きたいです。マスコットキャラクターのペガスター共々、ご来場をお待ちしております」

グランドオープンは3月3日土曜日。待ち遠しいですな~! グランドオープン当日の中京競馬場はフリーパスの日、入場料が無料です。翌4日には、新コース初の重賞レース・中日新聞杯が行われます。開幕週は土日ともイベントがたくさん予定されています。

また、この日から今年の新人騎手が騎乗を開始します。新コースの中京競馬場でデビューする新人ジョッキーもいるかもしれませんね。楽しみいっぱいのグランドオープンまで、あと18日です!

ラジオNIKKEIアナウンサー 小塚歩


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