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政権交代をはじめ、歴史に深く刻まれる出来事が多数あった2009年は、地方競馬にとっても大きな歴史が刻まれた1年だったようです。何と言っても、笠松から出た5戦無敗のラブミーチャンが、初めて「2歳馬で」年度代表馬に選ばれたのですから!

 2010年2月4日(木)、東京・目黒の目黒雅叙園で、地方競馬の年間表彰である「NARグランプリ2009」が行われました。お馴染みの顔に加え、今年の動向が注目されるラブミーチャンの関係者も一同に会して華やかなひと時となりました。


これが目黒雅叙園です!


祝賀会に先がけて、まずは各賞を受賞したジョッキー・調教師への共同会見が行われました。まずトップを切って登場したのは、優秀新人騎手賞に選ばれたばんえいの長澤幸太騎手と、優秀女性騎手賞4年連続の受賞となった高知の別府真衣騎手。


別府騎手と長澤騎手です

★優秀女性騎手賞・別府真衣騎手のコメント
「毎年、この賞を目標にやっている部分もあるので、とても光栄です。去年は韓国への遠征も経験しましたし、中身の濃い1年でした。(300勝達成については)一戦一戦を大事に、と思っているのでそんなに意識はしていませんでした。今年は年間80勝、そして通算400勝、500勝を目指してどんどん勝って行きたいと思います」

★優秀新人騎手賞・長澤幸太騎手のコメント
「受賞できるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。たくさん乗せて頂いた馬主さん、調教師の方々に感謝したいと思います。(初勝利を挙げた)デビュー戦は接戦だったので、周りから声を掛けていただくまで分かりませんでした。初騎乗初勝利はなかなか出来ることではないですし、誇りに思っています。
 去年一番印象に残っているのは、重賞(ナナカマド賞)を勝てた事です。正直自信は無かったのですが馬に勝たせて貰いました。減量が無くなってから、なかなか勝てていないので、早くそこから脱して行きたいと思います。
 今年の目標は、去年ケガをしてしまったので、まず1年を通じてケガ無く乗ることです。その上で1つでもたくさん乗せて頂けるように、頑張りたいと思います」

 21歳の長澤騎手はデビューした年に65勝を挙げ、日本プロスポーツ大賞新人賞も受賞した正にスーパールーキー。存続問題にも揺れるばんえい競馬の救世主となれるか、今後も注目したいところです。減量がなくなって苦労しているそうですが、「先輩」別府騎手から最後に「誰にでもそういう時期はあるし、そこを乗り越えればもう一段上に行けると思うので、頑張って欲しいです」と笑顔でエールを送られて、少しはにかんだような表情を見せていたのが印象的でした。

続いて姿を見せたのは、愛知の川西毅調教師と角田輝也調教師、そして毎年この式典の「顔」と言って良い船橋の川島正行調教師の3人。今年から「最優秀調教師賞」が「最優秀勝率調教師賞」「最優秀勝利回数調教師賞」「最優秀賞金収得調教師賞」の3部門での表彰になり、3人の調教師が表彰されました。ちなみに、この3人で2009年に合計470勝しています。


左から川西調教師、川島調教師、角田調教師

★最優秀勝率調教師賞(34.8%)を受賞した川西毅調教師(愛知)
「(受賞には)驚きました。馬の管理には、極力1頭あたりに接する時間を長くしているのですが、それがこういった結果に結びついたと思います。(隣を見ながら)最多勝の角田先生は雲の上の存在なので(笑)、少しでも近づけたらと思います。
 今年は通算500勝達成、そして全ての馬に愛情を注いで、ケガがないように育てていきたいですね。数字にはこだわらず、馬主さんの期待に応えられるよう、精一杯頑張ります」

★最優秀勝利回数調教師賞(年間239勝)角田輝也調教師(愛知)
「周りの皆様に感謝しています。数字にはこだわっていませんが、馬主の方々の期待に応えられるよう頑張った結果だと思っています。競馬は勝つか負けるかの世界ですし、勝つが最高であることは確かですが、一人一人の馬主さんに納得して頂けるような結果を、今後も出していきたいです。今年の目標は、(隣を見ながら)川島先生です」

★最優秀賞金収得調教師賞・川島正行調教師(船橋)
「大変光栄です。今年から(調教師の)受賞部門が増えたのは、とても良い事だと思います。私だけでなく、皆さんが賞を頂くことによって、みんなの励みになりますし、トレーナーとしての意識も高まるでしょうから……ここに来るまでの間、川西先生、角田先生ともお二人のような記録はなかなか出せませんよ、本当におめでとうございます、という話をしました。
 戸崎騎手も去年は300勝しましたし、今後は、若いジョッキーを育てるのが目標です。そうすれば、ファンの方々もまた違った目で競馬を見てくれて、競馬場に足を運んでくれるのではないでしょうか。ですから是非、戸崎騎手の後に続くジョッキーを育てたいです」

 川島調教師が語っていましたが、賞が増えたことで、愛知の二人の調教師が新たに表彰を受けました。地方には凄腕の調教師はたくさんいる、ということがこの賞をきっかけに世に伝われば、地方競馬ファンももっと増えるのではないでしょうか。

 続いては、殊勲調教師賞を受賞した北海道の角川秀樹調教師。オノユウ、ナンテカ、ビッグバンと北海道だけでなく南関東でも重賞戦線を席巻した2歳馬のラインナップは圧巻でした。南関東へ移った馬もいますが、その馬たちの活躍は今年も続きそうです。


角川調教師です

★殊勲調教師賞・角川秀樹調教師(北海道)
「本当に光栄です。特に印象に残っているのは、なかなか勝てなかった北海道2歳優駿を勝てた事です。(去年は鎌倉記念とサンライズカップ、同じ日に2歳重賞ダブル制覇も達成)あの時は北海道にいて、(ナンテカが鎌倉記念を)勝ったと知った時はグリコのお菓子ではないですが(笑)、一粒で二度美味しいような気分でした。
 今は、明け2歳馬の調教がメインです。この時期の調教が一番大事と思っていますが、ここまで順調に来ています。今年は、去年があまりにも出来過ぎだったので、去年は何だったんだと言われないように頑張りたいです」

 そして、次はこの3人が登場。一段と多くのシャッター音が響き、フラッシュが光った時間でした。


年度代表馬ラブミーチャンの関係者。左から濱口騎手、柳江調教師、小林祥晃オーナー

★ラブミーチャンの主戦・濱口楠彦騎手
「こんな馬に乗れて、有り難いことです。JRAの500万条件に出走して勝った時、この馬は何か違うなと思ったんです。馬に乗っている感触としては、芝でも大丈夫だと思います。ですから、何とか桜花賞へ行きたいです。距離も折り合いさえつけば、2000mぐらいまで大丈夫だと思います。この馬の力を信じて乗りたいです」

★“ドクター・コパ”こと小林祥晃オーナー
「こんな所に来ることができて、神様に感謝しています。この馬とは1歳のセリで初めて会いました。周りから『今年のグランド牧場の馬は良いですよ』と言われて、軽い気持ちで見たんです。お父さんのサウスヴィグラスが大好きだったので……。この後は、まず来週のゴールドジュニアに使って、そこからフィリーズレビュー、桜花賞が目標です」

★柳江仁調教師
「とても光栄な気持ちです。去年使っていたころは夢中で、どんな調教をしたらいいか、とか希望より心配の方が大きかったんです。その結果、ラブミーチャンはどんどん勝ってくれて……走るたびに感心させられました。
 (2月12日のゴールドジュニアへの調整過程は)1週前追い切りもスムーズに消化できました。地元戦ですがキッチリ仕上げて送り出したいですね。(芝への適性は)お父さんのサウスヴィグラスによく似た馬ですが、手足も伸びていてフットワークは軽い馬です。見た目はガッチリしていますが、この身のこなしの柔らかさは、芝でも生きると思います」

 ここで、共同会見は一旦終了。式典場で各部門の表彰式が行われました。


表彰式のひとコマです


表彰を受けるジョッキー4人です。左端はプレゼンターの佐々木竹見さん、右端はNARの仲田和雄理事長


表彰された調教師6人です

続いては共同会見の第2部。当日の大井競馬でのアクシデントで残念ながらフェアプレー賞・今野忠成騎手の姿がありませんでしたが、最優秀勝利回数・最優秀賞金収得騎手賞の戸崎圭太騎手(大井)、最優秀勝率騎手賞の赤岡修次騎手(高知)が会見に臨みました。


お互いをライバル視?赤岡騎手と戸崎騎手です

★最優秀勝利回数騎手賞・最優秀賞金収得騎手賞の戸崎圭太騎手(大井)
「いい馬に乗せていただいて、周りの皆様には感謝したいです。まだまだご迷惑をかけるレースがたくさんありましたし、それを今後は気をつけていきたいと思います。南関東4場全てでのリーディングを浦和だけで去年取れなかったので、それは狙ってはいました。
 去年一番印象に残っているのは、1000勝を達成した羽田盃です。前のレースでリーチがかかっていましたし、羽田盃で決められて良かったです。
 今年の目標は、地方競馬で400勝です。去年も目指していましたけどダメだった(387勝)ので、今年は達成したいと思っています」

★最優秀勝率騎手賞(勝率35.6%)の赤岡修次騎手(高知)
「賞を取っていることを、携帯電話で見るまで知らなかったんです(笑)この賞には縁がないものと思っていただけに、嬉しいです。本当にいい馬にたくさん乗せて頂けた結果だと思います。勝率は意識していませんでしたし、自分でもビックリするくらいです。
 (1月3日の報知オールスターカップで、戸崎騎手とゴール前接戦になりましたが)接戦でしたし勝ちたかったのですが、隣の人にやられました(笑)。高知以外で騎乗する機会も多いですが、自分としては積極的に前に絡むレースを心掛けています。他の競馬場で騎乗して勉強になることは多いです。いい馬に乗せて頂いていても、取りこぼすことも多いですし、技術的にまだまだ伸ばせる面はあると思います。まだまだ研究していきたいです。(隣の戸崎圭太騎手の良い所は)バランス感覚がすごくいいな、と思うので見習いたいです」

 南関東、高知で確たるトップの座についた二人のジョッキー。お互いを認め合いつつ、ライバル心のようなものも持ち合わせているようです。賞金や勝利数では他の地区を上回るのが難しい高知ですが、勝率というフィールドでナンバーワンとなった赤岡騎手、南関東で重賞制覇というシーンを見るのも近いかも知れません。

 この後は祝賀会が開催され、受賞者と出席者の交流の輪があちこちにできていました。その合間を縫って、大人気のラブミーチャンを管理する柳江仁調教師にインタビュー。会見、表彰式でも再三質問攻めにあっていたにもかかわらず、笑顔でインタビューに応じてくれました。


柳江調教師へインタビューさせて頂きました(撮影:舩山アナ)

<インタビューでの柳江仁調教師のコメント>
「本当にありがとうございます。痛切にうれしいですね。

 ラブミーチャンと出会って去年一番変わったことは、競馬に向かっての興奮度でしょうか。自分の中ではもう、火山があれば爆発すると言うか……爆発してしまったような場面もありましたけど、ますます何かをしないといけないという気持ちが芽生えて来たのは、久しぶりですね。興奮度で比べてしまうのは何なんですけど、強烈に興奮したのが、このラブミーチャンとの一戦一戦でした。

 かつて目の前で活躍したライデンリーダーを見て、自分でも興奮しましたし、ああいう馬を自分で管理したら凄いんだろうな、という気持ちはありました。それが今、自分にかかって来たのかなと思うと、自分に課せられた使命を改めて感じていますね。

 一生懸命また仕上げて行きますので、また、応援していただけたら嬉しいですね。ラブミーチャンは何かを持ってるんです。応援してくれればくれるほど、調子に乗る訳ではないけれど、期待に応えてくれるんですよね。ですから、皆さんの応援を多くいただけたら、また走ってくれると思うので、ますます応援していただきたいです。その期待に応えられるよう、僕も頑張りますので、よろしくお願いします」

 売上げ減少などで苦境に立たされている地方競馬ですが、そんな中ラブミーチャンは「地方からでも全国で活躍できる馬を送り出せる」という夢を与えてくれる存在と言えるのではないでしょうか。ライデンリーダーの頃と違って、ダートグレード路線の整備も充実してきました。「みんなに夢を与える存在」として、JRAクラシック戦線は勿論、その先のダートグレード戦線でも元気に走り続けてくれたら……と願わずにはいられません。

 まずは今週12日、地元笠松の重賞ゴールドジュニアで2010年の初陣を迎えるラブミーチャン。果たして今年笠松で、そしてJRAで、地方競馬で、どんなパフォーマンスを見せるのか、注目です。

 おまけ:NARグランプリに先駆けて目黒雅叙園では、地方競馬の5重勝単式「オッズパークロト」のイメージキャラクター発表が行われていました。起用されたのは、EX※LEのメンバーのような姿の新庄剛志氏。そう言えば、かつて「クイズ$※リオネア」で、鉛筆を転がして答えを選び、1000万円を獲得したことがありました。嗚呼、その強運を少し私にも分けて頂けないでしょうか?

(レポート:大関隼)


歌って踊れそうな雰囲気を醸し出す新庄氏です(撮影:舩山アナ)


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