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(その1)から読んで頂いた皆様ありがとうございます。(その2)では、JBCレース本番、そしてレース後の模様をレポートしたい。


地方騎手の服色を覚える事も兼ねて作った、JBCスプリントの塗り絵


さあ、ついに園田にJBCがやって来た。スタンドもビッシリと人で埋まって、生ファンファーレに大歓声。ゲートが開いて再び起きる大歓声の中を各馬が通過していく。


この通り、スタンドも人でびっしり埋まったJBC直前


スタンド前を通過する各馬。先手を奪ったのはバンブーエール!

レースはバンブーエールが逃げる展開となり、モエレラッキー、アルドラゴン、スマートファルコンが直後で追走。3コーナーでバンブーエールがペースを上げると、単独でこれについて行ったのはスマートファルコンで直線は2頭のマッチレース!ブルーコンコルドは…幸騎手が懸命に追っているが伸びない。最後は松岡正海騎手が高々と左手を上げてバンブーエールが先頭でゴール。夏の勢いそのままに、初重賞制覇がJBCという快挙を達成した。


4連勝でJBCを制したバンブーエール。松岡騎手が歓喜の雄叫び!


惜しくも2着、スマートファルコン


地元兵庫のアルドラゴン。スプリントでも大健闘の3着


GI8勝目ならず、ブルーコンコルド

<レース後の関係者のコメント>
1着 バンブーエール (松岡正海騎手)
「速い流れにはならないと思っていたのでハナに立ちました。道中は馬もリラックスして、楽に走ってくれました。直線スマートファルコンが迫ってきましたが1頭になると気を抜くところがあるのでかえってよかったです。元々力があって重賞を勝つ力はあるとは思っていましたが、それがGIになるとは思いませんでした」

2着 スマートファルコン (岩田康誠騎手)
「自分のレースは出来て、折り合いもついたんですが、勝った馬向きのレースになってしまいましたね。相手は3,4コーナーで息も入っていますから…距離は1600mぐらいの方がレースをしやすいかも知れません」

4着 ブルーコンコルド (幸英明騎手)
「いい感じだったのですが、勝負どころでちょっとついて行けませんでした。今のこの馬は以前よりズブくなってきているので、1400mは忙しいのかも知れません」

5着 メイショウバトラー (武豊騎手)
「この馬にとっては理想の流れかなとは思っていましたが、しまい伸び切れませんでしたね。この馬には深いダートなのかも知れません」

7着 フジノウェーブ (御神本訓史騎手)
「伸びてはいるんですが、何か馬が集中していないような感じでした。馬に行く気がもう一つありませんでした」

(取材:檜川彰人、大関隼)

絶対的な王者として君臨していたブルーコンコルドが敗れて上がり馬バンブーエール、3歳馬スマートファルコンという上位だったJBCスプリント。ここに出られなかったユビキタスなども含めて、ダート短距離界もこれからさらに世代交代が加速していくのかな、という思いがした。


そしてメインレースは地方競馬のレースとしては最高の1着賞金1億円をかけた戦い・JBCクラシック。ドバイ以来の実戦でもヴァーミリアンが日本ダート界チャンピオンの座を防衛するのか、ダート5戦全て圧勝の若き挑戦者・サクセスブロッケンが世代交代を証明するのか、はたまた地方勢が8回目にしてJBCクラシックのタイトルを手にするのか。想像するだけでもワクワクしてきた。


記憶用に作ったJBCクラシックの塗り絵

実はこの時、JBCスプリントの取材をしていたのでパドックの馬の写真は撮れなかった。ただレース前に考えていたのはヴァーミリアンが6歳の今年もあれだけの強さを発揮できるのか…ということ。ヴァーミリアンから買ってもリターンが期待しにくいし、先行有利の園田で追い込んで届かず、と言うシーンがあっても驚けないのでは?と思っていた。それなら逃げて結果を残しているサクセスブロッケン、そしてフリオーソ。この2頭がそのまま粘りこんで決着しても不思議では無いだろう。という訳で、JBCクラシックもサクセスブロッケンとフリオーソの1点で勝負する事にした。


大関の馬券。男ならドンと1点!!

再び生ファンファーレに大歓声が沸き起こった後、レースがスタート。メイショウトウコンが遅れ、サクセスブロッケンもスタートで少し遅れたが巻き返して先手を主張、フリオーソも負けじと外から行って2頭がレースを引っ張る形になった。「そのまま、そのまま!」と道中は心の中で叫んでいたものの…。


貫禄の連覇を果たしたヴァーミリアン

強かった。2周目3コーナーで満を持して追い出したヴァーミリアンが堂々と直線入り口で先頭に立つと、懸命に追いすがるサクセスブロッケンを寄せ付けずレコードで完勝。これでGIは6勝目、ジャパンカップダートと東京大賞典でGI最多勝記録更新の可能性も出てきた。


惜しくも2着、サクセスブロッケン


3着メイショウトウコン。スタートのあの遅れがなければ…


4着のフリオーソ。地方馬のJBCクラシック初制覇は成らず…


ヴァーミリアンいわく「まだまだ若い奴には負けないよ、ハッハッハ」

<レース後の関係者のコメント>
1着 ヴァーミリアン
(武豊騎手)
「返し馬の感触で久々ですがスタッフが万全の仕上げをしてくれたという、いい感じを持ってレースに臨みました、着差はクビでいすがそれ以上の完勝です。でも久々で小回りコースということで決してこの馬向きの条件では無かったので正直不安もありました。でも乗り役の指示にしっかりしたがってくれる乗り易い馬で、いいスタートも切れて出たなりのレース、マイペースの追走からいい手応えでどこで仕掛けていこうかと思っていました。外に出したらこちらのゴーサインに良く応えてくれました。最後は際どかったんですが、今日は勝ったことがすぐわかりました(笑)(2日の天皇賞を受けて)」

(石坂正調教師)
「まだ衰えるという感じでは無いと思っていましたが、それを確認できて良かったです。この後はJCダートを目指します」

2着 サクセスブロッケン (横山典弘騎手)
「スタートが痛かったね。滑ってしまいました。(ヴァーミリアンと)2キロ差あるので負けないと思っていたけど…こんな不利があったのにここまで来るんだから大した馬だけど、負けたくなかった」

3着 メイショウトウコン (藤田伸二騎手)
「出遅れじゃなくて、ゲートを出ないんだよ。最近ずっと…馬の出来は絶好だったし一発狙ってたんだけど、あのスタートじゃどうにもならないね。それであそこまで来るんだから本当に残念です。とにかくゲートに尽きます」

4着 フリオーソ (戸崎圭太騎手)
「走りそのものはいつもと変りません。ペースそのものはこの馬にいい具合に流れてくれましたからね。直線の反応も悪くありませんでした。ただ出負けしたのと、外から被せられたところがあったのが痛かったですね」

5着 フィールドルージュ (岩田康誠騎手)
「行き脚がつかなかった。離れていく一方でした」

6着 ボンネビルレコード (内田博幸騎手)
「こういった特殊な馬場ですからね、一度経験したら違うと思います」

(取材:檜川彰人、大関隼)

JBCクラシックは現王者が強さを見せてタイトル防衛、という結果になった。しかしサクセスブロッケンは久々、しかもスタートで滑った不利があってあの2着だから、不利が無ければもっと際どかったように思う。ここにカジノドライヴや外国馬も加わってのジャパンCダートでの再戦が本当に楽しみだ。


戦いすんで家路につく人々。JBCが終わっても園田競馬は続く

この日の園田競馬場は22174人が来場して大盛況。総売り上げは主催者の目標を大きく超える20億5584万900円、JBCクラシック1レースの売上げも従来のレコードの2倍を超える9億1155万500円と、興行としては大成功に終わった。

個人的に印象に残ったのは、最終12レース前に実況の吉田勝彦アナウンサーが「園田競馬は明日もあさってもあります。みなさん、是非園田競馬場へお越しください」とアナウンスすると、場内からJBC前にも負けない大歓声が起こったことだった。まさにその通り!これを機に、競馬をライブで見ることの面白さを認識してくれたファンの皆様が、日常的に競馬場に行く機会を増やしてくれればと思う。自分も馬券はいいところなしだったが、1人のファンとして「レースを予想して、馬券を買って楽しむ」という過程をたっぷり楽しむ事が出来た。

来年のJBCの舞台は名古屋競馬場。機会があるのなら是非また旅打ち気分を味わいに行ってみたい。

(レポート:大関隼)


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