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ああっ、忙しさにかまけていたら1ヶ月も過ぎてしまっていた…

 というわけで先月24日、中山競馬場で行われた「ブリーズアップセール」を取材してきました。
 実は恥ずかしながら、今まで馬のセリを一度も見たことが無かった私。佐藤アナに「じゃあ行ってみる?」と声を掛けられ、これ幸いにと中山競馬場へ駆けつけました。

 とはいうものの、何をどう取材したらいいものやら?月曜日のガランとした競馬場の中でひとりうろたえる私。とりあえず、いつもの放送席まで上がってみよう。

誰もいない放送席…

誰もいない放送席…



 放送席からゴンドラへと出てみると、ちょうど騎乗供覧の真っ最中。競馬学校の騎手候補生やJRAの職員を背にした若駒たちが、レースと同様に地下馬道からコースに出て、返し馬へと入っていきます。
(ちなみに登場曲は、関西圏や北海道の競馬場で流れる本馬場入場曲。中山では滅多に流れないだけに、なんだが新鮮な感じでしたよ〜)

いつものレースと同じく、地下馬道から馬場入り

いつものレースと同じく、地下馬道から馬場入り



 馬場に出た2歳馬たちは向正面に集合し、1頭ずつ駆け出していきます。だいたい残り800mの地点からスタートして、後半の400mのタイムを計測。このタイムが、セリに向けての重要な資料となるわけです。
 これがまた、まだまだ子供子供しているはずの2歳馬たちが、おとなしく隊列を作って歩いているんです。まあ中にはヒンヒン鳴いたり、暴れて放馬しちゃったり、というのもいましたが。全体的には「よく調教されているんだな」という印象です。

馬場に出て軽く返し馬、このあと向正面に集合します

馬場に出て軽く返し馬、このあと向正面に集合します


テイエムドラゴンの全妹、ヤエシラオキの04

テイエムドラゴンの全妹、ヤエシラオキの04


こちらはサマニノホシの04。サマニベッピンの近親です

こちらはサマニノホシの04。サマニベッピンの近親です



 騎乗供覧の進行役は、お馴染みの浅野靖典さん。さわやかな声が場内に響いていました。浅野さんはこのあとのセリ本番の進行役でもあります。

放送席にある資料もすごい…

放送席にある資料もすごい…

 

 騎乗供覧が終わると、こんどは装鞍所で「実馬展示」。上場馬を間近で見ることができます。上場馬をいくつかのグループに分け、1グループ約15分の展示。騎乗供覧で好タイムを出した馬には、やはり注目が集まります。
 馬主さんはもちろんのこと、調教師もたくさん来場していましたし(関西の調教師さんも!)、騎手の姿も何人か見かけました。その中で、カメラ片手にうろつく若造が(私のことです)。しかしせっかく来たのだから、去年のダイワパッションのような馬を何とか見つけよう!馬券的にも、POGの参考にもなりそうですしね!

実馬展示。装鞍所がパドックみたい。しかも間近で馬を見られる!

実馬展示。装鞍所がパドックみたい。しかも間近で馬を見られる!


この日の1番時計を出したメジロベツァーリ

この日の1番時計を出したメジロベツァーリ



 ちなみに、装鞍所というところに初めて足を踏み入れました。馬房をちらちら覗いていると、おお!こんな名前を発見。

皐月賞馬が装鞍した馬房です

皐月賞馬が装鞍した馬房です



 さて、このセールのすごいところは、上場馬それぞれの個体情報がこれでもか!というほどに詳しく開示されていること。装鞍所のなかに情報開示のスペースが設けられ、喉や屈腱など、競走能力に影響しそうな部分がそれぞれどんな状態か、1頭ごとに資料や映像で確認できるようになっているんですね。馬を買う馬主さんや預かる立場の調教師さんにとっては、大きな安心材料となりますよね。JRA関係者の皆さんも、この点を特にセールスポイントとして挙げていらっしゃいました。

個体情報が閲覧できる小部屋

個体情報が閲覧できる小部屋



 そして午後からいよいよセリ本番。進行役は浅野さん、そして鑑定人は松橋康彦さん。日本軽種馬協会の東北支部にいらっしゃる方です。実は私、去年の夏に松橋さんにお会いしてお話させていただいたことがあります。その時から「松橋さんのセリを見てみたい」と思っていたんです。

いよいよセリがスタート。大盛況!

いよいよセリがスタート。大盛況!


浅野さんと松橋康彦さん

浅野さんと松橋康彦さん



 松橋さんのセリは小気味よく、それでいて熱いですね。時折混じる東北弁のイントネーションも素敵。自分が馬を買うわけではないのに、なんだかセリに引き込まれていく感じですね。

 セリの序盤は様子見ムードだったものの、供覧で好タイムを出した馬が出てくると一気にヒートアップ。ホワイトマズル産駒の「クールラブの04」は、700万からスタートしてあれよあれよとハネ上がり、最後は3800万に!ちなみに「クールラブの04」、青森産です。ホッカイドウ競馬で衝撃的なデビューを飾ったインパーフェクトに続くことができるでしょうか?

クールラブの04

クールラブの04



 最高額で落札されたのは、ディスクオブゴールドの04。父は凱旋門賞馬マリエンバード。今年の2歳新種牡馬です。母は米GI2着の実績。3900万円でした。

ディスクオブゴールドの04

ディスクオブゴールドの04



 牝馬の最高額はこちら。リンデンルレーブの04(父カリズマティック)。祖母がエリザベス女王杯を制したリンデンリリーで、近親にヤマカツリリーがいる血統ですね。騎乗供覧でも11秒6−11秒6と好時計をマークしていました。3100万円での落札。

リンデンルレーブの04

リンデンルレーブの04



 以上の3頭を含めて、3000万オーバーは5頭いました。去年の最高額が2900万円ですから、これはすごいことです。さらに驚きが、69頭中68頭が落札。つまり、売れなかったのはたった1頭だけ!売却率は実に98.6%、驚異的な数字です。世界的にもこんな市場はなかなかないとか。
 セリ会場の反応を見ていると、参加者が口々に「ずいぶん高いなあ」「これじゃ買えないよ」と苦笑いをしていました。まあもちろん冗談半分ではあるのですが、ある程度は手ごろな値段で買おうと思っていたものが、予想外に値がつりあがってしまうケースもあったように思います。それも、安心して馬を買える状況をJRAが作ってきたことの裏返し、とも見ることができますよね。

 予想以上に大盛況のブリーズアップセール。セール時の情報開示などで、このスタイルを取り入れるセールが他にも出てくるかも知れません。全国のセールに活気が出れば、馬産地経済の活性化につながるのかも?注目したいと思います。
 
 あ、POGで指名しようと思っている方は、JRAのホームページで1頭ごとの個体情報を見ることができます。ご参考までに、ご覧になってみては?


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