3月22日、雨模様の高知競馬場は異常なテンションに包まれていた。ラジオたんぱに入社して5年、今まで経験した事が無い雰囲気に戸惑ってしまった。さながら殺気立ったコンサート会場。ハルウララ大騒動は、この日、ピークに達した。
この日の高知競馬場は余りに報道陣の数が多く、取材者の集合時間は朝8時30分。約80社、約400人が集まった。主催者側も想像を越える人数に戸惑っている様子。しかも「パドックではフラッシュを焚かないで下さい」などの基本事項も繰り返し説明しなければならないくらいだから頭も痛かろう。しかも、取材に夢中で説明を聞いていない人や、必要以上の手配を要求する人もいて、さらに混乱に輪を掛けていた。
開門は9時、徹夜組3000人を含める大勢のファンが猛ダッシュ。あっと言う間に「ハルウララ記念単勝馬券購入専用窓口」と、「ハルウララグッズ売り場」には長い長い列が出来た。私も頼まれたので致し方なくお昼頃から並んでみたが、1時間経っても進まない行列にイライラが募るばかり。一人で100枚、500枚と100円の単勝馬券を買う強者も多く、売り場の混乱ぶりは想像に余りある。
午後1時半には高知競馬場を訪れるファンは1万3000人に達し、入場制限を実施。入れない人は近くの運動公園でハルウララ出走レースを観戦すると言うのだから恐れ入る。『レースを予想し馬券を買って観戦する』という競馬本来のスタイルを貫くのはやや難しい状況だ。それでも負けずに「ロードブレーブは確勝だ!」等と言いつつ、しっかりと馬券を買ってみたが、結果は無念の3着。ただでさえ初上陸の高知競馬で不良馬場、簡単には当たらないものだ。
騒然とする場内はさておき、この日の目玉・第一弾は「全日本新人王争覇戦」。全国から台頭著しい若手騎手が会し、腕を競うレースで、今年で18回を迎えるお馴染みのレースだ。今年は地元・高知の若手がいないのだが全国から12人の精鋭が揃った。
レースはJRAの柴原央明騎手が手綱を取るダイナナワンダーが逃げ切って優勝、内から際どく迫った2着に船橋の林幻騎手が騎乗したショウリノオタケビが、3着にJRAの五十嵐雄祐騎手のポライトワールドが入った。
〜優勝した柴原央明騎手のコメント〜
「地方競馬で初めて勝てて嬉しいです。このレースは、毎年地方競馬の人が勝っているので、何とかしたいと思っていました」
「(レースに関して)馬場が悪いので、砂を被らないように前につけようと思っていました。最後は内から来られてヒヤッとしましたが、馬もよく頑張ってくれました。これだけ大勢のファンがいる中でレースができて嬉しいです」
さて、残るレースはあと2つ。黒船賞と、ハルウララが出走するYSダービージョッキー特別については、レポート(その2)をご覧下さい。