2月6日(木)、東京・目黒の雅叙園で『NARグランプリ2002』表彰式が行われた。全国各地から表彰された地方競馬関係者が一同に会する盛大なイベント。すでに表彰者は発表されていたけど、それぞれどんな思いで会場に足を運ぶのかに注目して向かいました。
表彰式の前に、まず3人の記者会見が行われた。2年連続年度代表馬に選ばれたトーホウエンエンペラー、アラブの怪物・愛知のマリンレオの戸澤調教師、ばんえい競馬の紅一点・新人ながら記録的な活躍をみせる佐藤希世子騎手。
◎トーホウエンペラーについて千葉四美調教師
「2年連続、年度代表馬に選ばれて関係者一同、大変喜んでいます。春シーズンは色々やったけどイマイチでしたが、秋は体調も上向き、南部杯を勝つことができました。苦手の左回りだし、正直勝てるとは思っていなかったのですが、岩手勢のワンツーも嬉しかったですね。球節のあまり良くない馬だったので、良くすることに努めたことが良かったと思います」
「JCダートを目標に、ここを勝ちたいと思っていました。結果は良くなかったけど、見せ場は作ってくれたので良しとします。でも欲を言えば、中央の舞台でGIを勝ちたかったですね」
「(引退は)東京大賞典の後、岩手に戻って脚元の具合を考えて決断しました。この馬は私に最高の思い出を作ってくれました。早くその子供を手がけたいと今から思っています。とにかく引退式も無事終えて、ホッとしています」
◎アラブ4歳以上最優秀馬・マリンレオを管理する愛知・戸澤調教師
「マリンレオは頭が良い馬です。一般的にサラブレッドよりアラブの方が気が勝っているので、この馬も普段はうるさい面が多いですね」
「5歳時にアラブグランプリでワシュウジョージに負けて以来、打倒ワシュウジョージを目標にやってきました。負けたことでより強くなったし、この時点で全国区で勝てる馬だと確信していました」
「10戦10勝で終えた昨年ですが、今が一番良い状態にあります。今年は夏に、中央の芝の交流戦に挑戦したいとも考えています」
◎最優秀女性騎手の佐藤希世子騎手
「こういう大きな賞をいただけるとは思っていなかったので、関係者の皆様に感謝しています。今でも緊張しながら騎乗していますが、厩舎作業にしてもレースにしても、まだまだ自分は力が足りないと思っています」
「ばんえいの騎手になって本当に良かったと思います。高校を出てからこれまで、様々な馬にかかわる仕事に就きましたが、どれも最後の一歩を踏み出せませんでした。やっとこの仕事で、それを越えられた気がしています」
「これから減量の恩恵が無くなってどうなるかですが、自分の力をつけ、馬の能力を引き出せるよう、一つ一つ大事に頑張っていきます」
17時30分から1時間、表彰式が行われた。そして19時からパーティー、ですが同時に記者会見も再びスタート。今度は最優秀調教師の船橋・川島正行調教師と最優秀騎手、最優秀新人騎手で親子同時受賞となった石崎親子です。
◎3度目の受賞となった最優秀調教師・船橋の川島正行調教師
「3度目の受賞を目標にしていたので、嬉しいです。2002年は目標勝利数を60にしていました(実際は68勝)。素晴らしいオーナー、馬とめぐり合い、スタッフがよく頑張ってくれた結果だと思います。自分なりに飼料、調教に気遣ってやってきたことが結果に表れていますし、スタッフの努力も実っている感じですね」
「(ネームヴァリューについて)まさか、最優秀牝馬に選ばれるとは思っていませんでしたが、中央時代から、この馬のことは気にして見ていました。昨日TCK女王盃を勝ってさらに自信になりました。この後は3月30日のJRA中山マーチS(GIII)に向かいたいと思いますが、体調によっては間にエンプレス杯(2月26日、川?GII)を使うことも考えられます」
「(今年は着物じゃありませんが)ノーベル賞を受賞した田中さんが燕尾服だったので着たのですが、やはり日本人は和服がいいですね(笑)」
◎13年連続最優秀騎手の石崎隆之騎手
「南関東のリーディングを落としたのでダメだと思っていましたが、選ばれたと聞いて嬉しかったですね。でも今まで自分が守ってきたリーディングの座を奪われて、悔しいわけでは無いけど『負けた』という感じはしました」
「(地方競馬通算5000勝にあと一つ)明日には達成できると思います。このペースなら佐々木竹見さんも数年後に見えてくるけど、それはさすがに無理だと思います」
「毎日競馬に乗っていると、さすがに疲れたり、飽きたりもするけど、騎手という職業は乗ってナンボの世界。休みが無いことも、この仕事に就いたときから覚悟していました」
「今年はトーシンブリザードに復活してもらいたいですね。復帰はまだ先になりそうだけど、もう1度強いところを見せてもらいたいと思います」
「(息子の駿騎手について)センスは悪くないと思うし、あとは本人次第でしょう。こちらから特に何も言わないし、向こうからも聞いてこない、自分で考えているのでしょう。これから一流になるにはもっと沢山の馬に乗らなきゃ、と思います」
◎最優秀新人騎手の石崎駿騎手
「新人賞をもらえてホッとしました。昨年は勝鞍も増えて、良い1年だったと思います。とにかくまわりに迷惑をかけないこと、追ってからの姿勢を大事に騎乗しています」
「JRAの競馬学校時代、とにかく減量がきつくて退学し、船橋の佐藤厩舎に入ったのですが、佐藤師には基礎から全てを教わったと思います。(デビュー当時)デビューしたものの、あの頃も減量がきつくて、乗っているだけで大変でした」
「(父・隆之騎手について)全てにおいて『凄い』の一言です。自分も、もっと沢山の馬に乗せてもらえる騎手になりたいと思います」
と会見でのインタビューを中心にお送りしてきました。注目の石崎親子ですが、「特に何も言わない」と言いながらも、息子のことを考えているお父さんの思いを、駿君がしっかりと理解していたことが印象的でした。本当に大勢の人が駆けつけ、大盛況だったNARグランプリ2002でした。