7月4日・金曜日。朝方は梅雨らしいハッキリしないお天気だったが、昼過ぎから少し薄くなった雲を通して、強い日差しが地面に届き始めた。蒸し暑い。海が近いからか、船橋競馬場ではやや強い風が吹き、少し落ち着けた。
ドバイのシェイク・モハメド殿下が統括するダーレースタッドマネージメントの日本法人ダーレージャパンの所有馬2頭が、船橋競馬場でデビューを迎えた。
6RのJRA認定競走・2歳新馬戦(1000m)には、マークオブエスティームの牡馬マークオブオナーが出走した。青いメンコ、青いブリンカー、青い手綱、青いバンテージ。ゴドルフィンのシンボルカラーをふんだんに使った出で立ちで登場。手綱を引く厩務員も青いチョッキを着ていた。
立派な馬体はパドックでも目につく。しかし、甘えたり、ボーッとしてみたりで、とにかくのんびりした様子。私は直接見られなかったが、本場馬入場の時には高らかにいなないていたそう。
レース前には、新馬戦としては異例の調教VTRと調教師のインタビューが場内のビジョンで流された。主催者の意気込みを感じた。
石崎駿騎手を背に迎えたレースは、まずまずのスタート。2番手を追走し4コーナーを迎えたが、この時点で、鞍上の手が激しく動いていた。3番手を進んだ勝ち馬に内を掬われた後は突き放されてしまい、勝ち馬から1秒8差の3着に敗れた。上位2頭は能力試験の時計上位馬だった。
●6レース後の石崎駿騎手のコメント
「現時点では、よく走っていると思います。まだ走る気がないみたいですし、体を持て余している感じです。追い切りの方がまともに走っていますね。でも、絶対にもっと良くなってきます。いずれ重賞は勝てると思います」
7RのJRA認定競走・2歳新馬戦(1000m)にはシーキングザゴールド牡馬のゼレンカが出走した。やはりパドックに登場した姿は青ずくめ。やはり馬体は目立っていたが気合いはいまひとつの雰囲気。気がつけば、パドックには青い横断幕まで。関係者によれば、ファンが好意で作ってくれたものだとの事。
レースでは石崎隆之騎手が騎乗。中団を追走したが、直線に入っても伸びきれず、勝ち馬から2秒2離された3着に沈んだ。
●7レース石崎隆之騎手のコメント
「ゲートの中で泣き続けていた様に、馬がまだまだ子供です。長いところがあっているのでしょう。まあ、まだまだですよ」
●川島正行調教師
「共に3着はまずまずでしょう。ゼレンカは馬の様子を見てレースに使っていきますが、マークオブオナーはこの後休ませます。」
●ダーレージャパン代表の高橋力氏のコメント
「マークオブオナーは順調に調整が進んでいたけど、5月生まれだからデビューがまだ早かったかもしれません。馬にかわいそうな事をしてしまいました。ゼレンカは1000mでは少し短いのでしょうか。エンジンが掛かった頃にはレースが終わってしまったのかもしれません。でも、まだ最初ですし、手探りの状態です。」
能力試験の結果から、今回のレースが多少、厳しいものになりそうなことは予想していたようで、関係者は今日の結果を冷静に受け止めていた様子。悔しさを表に出している姿は見られなかった。
新馬戦を勝てなかった名馬は数多くいるので、必ずしも新馬戦を勝てなかった事は悲観すべきことではない。
ただ、JRA認定競走を勝てなかったことで、JRAの舞台でマークオブオナーとゼレンカの姿を見られるのは少し先になりそうだ。主催者によれば、船橋競馬のJRA認定競走の未勝利戦は、10月開催以降になるとの事。
いずれにしろ、挑戦はまだ始まったばかり、これからもその動向から目が離せない事には間違いない。