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ディープインパクトの強さばかりが際立った第26回ジャパンカップ。状況が状況、そして少頭数ながらメンバーもメンバーだっただけに、大激戦を期待していた身としてはかなり拍子抜けな内容ではあったけど、わずかな抵抗を除いて、他が全く何もしなかった、いや全く何も出来なかったくらい、あの馬の強さは別格だったということなのだろう。ゲートをそっと出て後方を追走し、ペースなど関係無く4角では大外をぶん回って、それでも直線半ばで早々に「勝負アリ」を決定付けてしまうあの馬の異次元の強さは、これまでと全く何も変わらぬものだったし、改めての最強証明には「お見事」というほか、あの咄嗟の瞬間の僕には無かった。

それにしても、今回の、あの状況におけるディープインパクト陣営のプレッシャーや苦労を思うと、あれだけの楽勝をやってのけたという事実は、本当に凄いことだと思う。凱旋門賞レース途中までの、国をあげての応援ムードから一転、敗戦→引退発表→そして薬物疑惑発覚でイメージ急落。問題があったことに間違いは無い訳だが、それまでのスター扱いから一転した誹謗中傷の嵐、そのギャップがあまりに大きすぎたゆえに、心はさぞ傷ついたことだろう。

そんな中でも、渾身の仕上げを施してレースに馬を送り出した厩舎スタッフ、そして会見でも、今回にかける思いを強く語った上で、あの堂々たる競馬で勝利を掴んだ武豊騎手という人達の凄さが、より浮かび上がったのではないだろうか。最後の有馬記念、これまでさんざんとんでも無い競馬を披露してきたディープであるにも関わらず、「ディープの生涯最高のレースをさせたい」という武騎手の脳裏には、一体どんな競馬があるのだろうか。大差で勝つ、くらいしか、僕には想像がつかないけど、これは本当に楽しみだ。今はただ、静かにその時を待ちたいと思う。

でも改めて思うのは、これほどの凄い馬、人をもってしても、凱旋門賞には勝てなかったという事実。ハーツのキングジョージの時も、そしてより強くディープの凱旋門賞で感じたけど、これら欧州の歴史ある最高峰の競馬には、馬の力だけでは何とも出来ない大きな壁が、間違いなくあるのだろう。確かにローテーションなどにも一因はあるだろうが、それ以上に僕は“欧州人の意地”みたいなものを痛感した気がする。

今後も日本の馬は、引き続き海外に積極的に遠征して、おそらく各地で好結果を出し続けるだろう。その中で、ディープやハーツでも為し得なかった欧州最高峰の競馬を制する瞬間が、いつ、どんな形で、どのようにして訪れるのか、非常に興味深い、今後の楽しみなテーマが改めて出来た1年だった。


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