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この春、僕はオークスの実況を担当させてもらったが、自分の力の無さゆえ、至らない点だらけだったと反省させられる。しかし個人的には、これまでに無い、ものすごく大きな勉強をさせてもらったと思っている。

昨年の春シーズン後半、上司から「お前には、来年牝馬クラシック路線を担当してもらう」と告げられた。そして「競馬が一年、どんなサイクルで流れているのか、よく勉強しろ」とも言われた。その時の僕、その言葉がどんな意味を持っているのか、正直よくわからなかった。

ところがそう言われると、漠然とではあるが、やはりクラシックを意識するようになる。夏の新馬戦を見る段階から、自ずとこれまでとは視点が変わっていく。やがてこれが、特別・重賞、さらには全てのレースに対して、自分の中で変化が起こってくる。

そしてトライアルの段になると、いよいよ『クラシックの重み』を実感する。トライアル以前の戦いにおいて、2着、3着の“善戦”ではなく1着、つまり“勝つ”ことが、どれだけ大切なことだったのか。力を示しただけでは何にもならない、「力はあるのにもったいない」で終わってしまってはいけない。時期が決まっている以上、そこまでに何とかしなければならない。逃したら、もう挽回はできない。『一生に一度』ゆえの重み、それを強く感じさせられる。

同じ年に生まれた何千頭のうちの18頭。様々な関門を潜り抜け本番に出走することがかなった馬達は、それだけでもある種の名誉を勝ちとっている。しかし、その中でも唯一頭にしか輝かない勝利を目指した究極の戦い、それが“クラシック”だった。

こんなの、誰にとっても当り前の事だろう。僕も、頭ではわかっていたつもりだった。しかし、その過程に触れながら一年を過ごしたことで、ようやく実感できた。と言うより、むしろそれまでの自分は、何もわかっていなかった事に気がついた(もちろん今でも、まだまだわかっていないことだらけだが)。

オークスでもそうだったが、ダービーまで終わった後の脱力感、これは今までに味わったことの無いものだった。実況という、外から携わる身ですらそうなのだから、馬に携わっている人々のそれは、とてつもない、計り知れないものなのだろう。

今週から、来年のクラシックを目指す2歳馬の戦いが始まる。この一年の経験から得たことを、より大きくできるように頑張らなければならない、そんなことを今強く思っている。


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